[職業別の"当てはまり度"チェック]
・デスクワークの方:集中している時、締め切り前、パソコンの画面を見ている時、気づくと歯を強く噛み合わせ
ていませんか?
・体力仕事・運送業の方:荷物を持ち上げる瞬間、踏ん張る瞬間、無意識に歯を食いしばっていませんか?
・接客業・対人ストレスの多い方:感情をぐっと抑えるとき、顎に力が入っていませんか?
職種はまったく違っても、ストレスがかかる場面では同じように顎に力が入っている—
—これが「食いしばり」です。そして、食いしばりに気づいている人はわずか3%だと言われています。
つまり、ほとんどの方が無自覚のまま、日常的に顎へ負担をかけ続けている可能性があるということです。
[連鎖の全体像——「今」から「これから」への警告]
顎の緊張は、実は顎だけの問題では終わりません。次のような連鎖が起こると考えられています。
①顎の異常緊張 → 側頭部の筋肉疲労 → 頭痛
食いしばると、こめかみのあたりにある側頭筋が疲労し、緊張型の頭痛につながりやすいと言われています。
片頭痛のある方は食いしばりの頻度が高い傾向があり、食いしばる動作そのものが脳への血流に異常な変化を
起こすことが、専門的な検査手法で確認されています。
ちなみに集中している時の噛む力は、100kg近くにもなると言われています。
②顎 → 首・肩こりへの連鎖
ここが、実はあまり知られていない話です。
脳の中には「三叉神経頸椎複合体」という合流点があり、顎からの神経(三叉神経)と、
首からの神経(頸椎1〜3番)が、同じ場所に集まって脳へ信号を送っていることが分かっています。
脳はこの2つの信号を明確に区別できないため、顎の緊張が「首や肩の痛み」として現れることがあると
考えられています。
肩こりだと思っていたものの発信源が、実は顎だった、というケースがあり得るのです。
③首・肩 → ストレートネック・猫背 → 肋骨の硬さ・呼吸への影響
首から肩、鎖骨、肋骨にかけての筋膜は、1枚の布のように連続してつながっていると言われています。
この連なりの中で緊張が続くと姿勢が前に丸まりやすくなり(猫背・ストレートネック)、肋骨の動きが
制限されて呼吸が浅くなりやすいとされています。
④呼吸の浅さ → 自律神経の乱れ → 睡眠障害・入眠障害
浅い呼吸は交感神経を優位にしやすく、夜になっても体が休息モードに切り替わりにくくなると言われています。
⑤自律神経の乱れ → 胃などの内臓機能への影響
顎関節の不調に関連する症状として、消化器の不快感やめまいも報告されており、顎の緊張が全身の自律神経
バランスに波及している可能性が指摘されています。
つまり、今「なんとなく頭が痛いだけ」だとしても、その根っこを放置すると、肩こり→姿勢の悪化→
呼吸の浅さ→睡眠の質の低下→胃の不快感、というように、影響が全身に広がっていく可能性がある、
ということです。
[海外×日本の新しいアプローチ/栄養レシピ]
◎海外で登場している新しい方法
食いしばりの最大の壁は「無自覚率97%」でした。
海外では、この"気づけない"問題そのものを技術で解決しようとする動きが出てきています。
顎の筋肉の緊張をセンサーで検知し、震動で「今、力が入っていますよ」と知らせるウェアラブル機器が登場して
おり、こうしたバイオフィードバックを使った方法で69%の方に改善が見られた(何もしない場合は35%)という
報告もあります。
◎栄養:おすすめレシピ「豆腐とひじきの白和え」
筋肉の緊張緩和に関わるとされるマグネシウム・カルシウムを、噛む力に負担をかけずに摂れる一品です。
材料(2人分):木綿豆腐1/2丁、乾燥ひじき5g、にんじん1/4本、すりごま大さじ2、味噌大さじ1/2、
砂糖小さじ1
作り方:
①豆腐は水切りしてすり潰す
②ひじきは水で戻し、にんじんは千切りにして軽く茹でる
③すりごま・味噌・砂糖を豆腐と混ぜ、ひじきとにんじんを和えて完成
やわらかく、顎に負担をかけずに食べられるのもポイントです。
◎セルフメンテナンス
・咬筋マッサージ(頬の筋肉):頬に手を当てたまま、奥歯を1回だけ「グッ」と噛みしめてみてください。
プクッと膨らむ部分が触れられるはずです。
それが「咬筋」です。
その部分に指先を当て、小さな円を描くように、少し痛気持ちいいと感じる強さで20〜30秒ほどマッサージ
します。
入浴中や、お風呂上がりの筋肉が温まっているタイミングで行うと、よりほぐれやすいと言われています。
・側頭筋マッサージ(こめかみ):頭痛のときに押さえたくなる、こめかみのあたりに指を置きます。
ここも同様に、円を描くように20〜30秒ほどマッサージしてください。
側頭筋は噛む力に直接関わる筋肉で、ここがこわばると緊張型頭痛につながりやすいと言われています。
・「歯を離す」習慣(TCH対策):実は歯科の世界には「TCH(上下歯列接触癖)」という言葉があります。
これは「食いしばり」というほど強い力でなくても、本来なら1日20分程度しか触れ合わないはずの上下の歯が、
無意識のうちに何時間も接触し続けてしまう癖のことで、顎関節症や頭痛・肩こりの原因のひとつとして歯科でも
治療対象になっています。
対策はシンプルで、デスクや目につく場所に小さな付箋を貼り、目に入るたびに「上下の歯、離れていますか?」
と確認し、唇は閉じたまま歯だけをそっと離す。
これを繰り返すことで、TCHの改善が期待できると言われています。
・避けたい姿勢のクセ:
頬杖、うつ伏せ寝は顎関節に直接負担をかける姿勢だとされています。
デスクワーク中の頬杖、寝るときのうつ伏せに心当たりがあれば、まずそこから見直してみてください。
・口を大きく開けるストレッチ:
無理のない範囲で、口をゆっくり大きく開けて5秒キープ、を5回。
顎関節や咬筋の柔軟性を保つサポートになると言われています。痛みが出る場合は中止してください。
[クラニオセイクラル]
顎関節と頭蓋骨は解剖学的に近接しているため、頭蓋骨のわずかな動きに着目するクラニオセイクラルは、
顎まわりの緊張にも働きかけやすいと考えられています。
ストレスが顎に伝わる神経のつながり自体を変えることはできませんが、末端の筋緊張や頭蓋の圧バランスを
整えることで、食いしばりに伴う頭痛や肩こりを穏やかにするサポートができると言われています。
「肩こりだと思っていたのに、実は顎から」——そんな可能性に心当たりのある方は、お気軽にご相談ください。